HISTORY

創業から現在までの軌跡
Setolaboの企業活動の移り変わり

イントロダクション

Setolaboは、代表である私、岡田悠輝が香川大学医学部の学生であった2018年に設立、2019年に登記を行った合同会社になります。右も左もわからない中、自分がこの社会問題を解決しようという熱い思いだけを持って、貯めたアルバイト代のたった資本金5万円で始めた会社が、今では、多くの従業員と、十分な売り上げを誇る会社にまで成長をすることができました。会社の従業員数や売り上げだけで、会社の信頼や事業規模を評価することは決してできませんが、ここまで成長をすることができたのは、多くの方に支えられてきたからにあります。辛いことやしんどいこともかなり多かったですが、それでも続けられてこられたことや、今の自分があるのは、周りの方に信頼していただきたくさん助けていただいて支えていただいたからに他なりません。今後は、この皆様からいただいた恩を、感謝の気持ちとして、社会に還元していくことが自分の役割だと感じています。

では、Setolaboができるまでのストーリーについて、僭越ながらここで紹介をさせていただきます。

タイの過酷な医療現場から始まった取り組み

香川大学4年次〜6年次まで、文部科学省のトビタテ!留学JAPANという国費留学制度を用いて、定期的にのべ半年ほどタイに留学していました。タイでは医学部生でも積極的に医療に参加することができ、より現場を見習い医師として経験することができます。タイでは、全ての人が医療にアクセスできる環境がある一方で、地方病院ではかなりの衝撃を受けました。

それは、窓が開放され鳩が病室を飛び交ったり、そもそも屋外の廊下までベットが並んでいるという劣悪な衛生環境の中、医療が行われていたことです。度重なる薬剤耐性菌の院内感染があり、院内感染が原因で亡くなる人もたくさんいます。そして、救急においては、5分に1台救急車が来て、徒歩で来る方も当然おり、次から次に患者が運び込まれる悲惨な状態でした。退院しても全く同じ病気の患者さんが、次々入院しており、終わりの見えない、付け焼き刃の医療が行われていました。患者が多すぎて、医師は、ほぼ休みもなく、やりがいを感じなくなり疲弊し、多くの医師が公立病院を退職し、私立病院や美容クリニックへ流れていくそうです。

source: www.phsd.ca

これでは、治療をし続けても、患者が増えるばかりで、患者の流入を止めないといくら病院で治療を続けてもキリがありません。日本では、予防医療のために、健診が積極的に行われたり、インターネット上で簡単に病に関することに情報がアクセスできたりしますが、タイはまだまだそうではありません。

私は、タイの過酷な医療現場を通して、定期検診が行き届いていないことや医療リテラシー(医学に関する知識)が低いなど、予防医療の発達が遅れている結果、助かるべき患者が助からない事実を目の当たりにしました。そして、日本にも予防医療がまだまだ必要であり、予防医療を通して地域社会に貢献したいと考えるようになりました。

資本金5万円・木造アパートから始まったSetolabo

医学部では全くビジネスについて学ぶ機会はなく、ビジネスにも全く興味は全くなかったので、勉強もして来ませんでした。そして、「ビジネス=お金を儲けること」というふうに当初悪いイメージを持っていたので、余計に興味がありませんでした。

しかし、「予防医療を通して地域社会に貢献したい」という思いはあるものの、実際にどうしたら良いかと考えた時に、社会問題に持続可能な形で取り組んでいくためには、収益化、マネタイズ化が絶対に必要であり、そのような形を取りたいと考えていました。その結果、気づいたら今のような「ビジネス」という形になっていたと思います。

起業(登記)したのも、アルバイトが禁止である研修医をすることになっていたこともあり、厚生労働省に相談をして、お給料をもらわなければ良いとのことだったので、「とりあえず会社を作っておこう」という気持ちで始まりました。そのため、当時住んでいた木造アパートの1室に資本金5万円の会社を作ることになりました。

世の中は見た目で判断をされがちで、会社が大きくなった今、信頼を高めるためにも資本金を上げた方が良いと言われました。しかし今でも、資本金5万円というのは変えていません。この5万円には会社を立ち上げた時の思いが詰まっており、あくまでもお金儲けをしているのではなく、社会問題に解決するための取り組みが結果ビジネスであるという私の考えを表したいからです。

 

予防医療を通じて笑顔で健康な社会を作り出す

「予防医療を通じて笑顔で健康な社会を作り出す」という理念のもと、特に2つのことに注目しました。1つは、予防医療の検査を身近にすることを通して病気を早期に発見するということ。そして、もう一つは、情報過多の時代に正しい医療情報を提供することです。

1.病気を早期に発見しようという試み

1つ目の事業は、予防検査を身近な存在にすることで、病気を早期に発見しようというサービスを行なっています。現在は、香川県と大阪府に衛生検査所を設立し、がんや感染症の検査サービスを展開しています。

がん検査については、腫瘍マーカーの検査を身近な存在にするべく、様々な医療機関への提携を呼びかけています。しかし、腫瘍マーカーでは、どうしても早期に発見できないがんもあり、現在、血液一滴からがんが超早期発見できるような検査体制を確立することで、自宅でがん検査ができるようにし、がん検査を身近な存在にすることで、がんで人が亡くならないような社会を作っていきたいとしています。具体的には、がん細胞が血中へ放出する小さな遺伝子を検出することで、がんを超早期発見しようという試みを、大学病院と治験の準備に向けて進めております。この試みを社会実装することで、がんの予防に寄与します。治験終了後は、日本国内のみならず、特に、医療途上国への支援を行うべく、海外展開を予定しております。

加えて、がんの治療のための検査にも2023年度より乗り出すこととなりました。がん遺伝子パネル検査は、がん細胞に起きている遺伝子の変化を調べ、がんの特徴を知るための検査です。がんの特徴が分かれば、一人ひとりに適した治療法を探すことができます。世界最先端の治療もこの検査なしには受けられません。しかし、日本では大学病院も含めて100箇所ほどしか検査できる場所がなく、Setolaboが、がん遺伝子パネル検査を行うことで、日本の一人でも多くの方に、最新の治療を受けていただく環境を作り出したいとしています。

また、遺伝子を解析することで、どのような病気になりやすいのかを解析するサービスを展開する準備を行なっており、2023年度中のサービス化を目標としています。単純に遺伝子を調べて、この病気になりやすいと調べる従来のサービスとは打って変わって、遺伝要因と生活習慣がそれぞれどの程度実際に疾患の発症に影響を与え、どのくらいの確率で病気を発症する可能性があるのかを調べることで、皆様の日々の生活を健康で送ることができるようになると考えております。

2020年から、新型コロナウイルスが発生した際は、自身が救急の現場でコロナ診療にあたっていたことをきっかけに、重症化を減らし医療機関の負担を減らすべく、新型コロナウイルスPCR検査を街中で気軽に受けられるようにどこよりも早期に開始しました。中四国を中心に12箇所に検査センターを設置し、東京オリンピック・パラリンピックや高齢者施設のスクリーニング検査、無料化検査など、行政からの検査にも多く応えてきました。特に、新型コロナの発生した初期は、各自治体の相談や政策提案を行わせていただき、広島県の薬局モニタリング検査の事業の提案や参画、大阪市の高齢者施設のスクリーニング検査の仕組み作り、ワクチン・検査パッケージの日本初の実証実験などを行いました。現在は、引き続き行政の検査を主に行なっておりますが、検査所のある大阪と香川の地域の皆様や全国の薬局の皆様と協力して、引き続き一般の方への検査も継続しております。新型コロナウイルスの抗体検査も可能で、ワクチンの効果測定も実施しています。

2.医療リテラシーを向上する取り組み

2つ目の事業は、「医療リテラシーを向上させることで、予防医学の普及に役立てようという試みです。

近年、企業の利益を最優先にした医療関係の広告が増えており、患者さんが誤認するなどの実害を実際の医療現場で感じていました。インターネットでなんでも調べられる時代の中で、情報の取捨選択が必要となっていますが、医学に関する知識を持っていない中で、まずその記事が正しいのかと一歩立ち止まって考える習慣や、物事を正しく判断しようという考える習慣を身につけることで、少しでも医療リテラシーが向上し、正しい情報選択ができるようになるのではないかと考えています。

そこで、医学的根拠にかけるエステサロンを医学的に監修したメディカルエステサロンを運営し(現在は他会社へ事業分離)、まずは身近なところから情報選択の大切さを訴えてきました。今後は、顔が見える医療従事者が医学的知識を根拠を持って発信していくような場を提供することで、いつでも医療に関する有用な情報を得ることができるようにする事ができるのではないかと考えています。

具体的には、健康でいるために予防に寄与するアプリケーションに医療情報へのアクセス環境を整え、これに検査事業も組み込むことで、検査と教育の観点から皆様の健康に寄与する取り組みを行なおうとしています。

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